天智天皇の時代、政治の実権を握るべく蘇我蝦夷、曽我入鹿親子は夫々の思惑で画策しています。左大臣藤原鎌足の息子淡海は入鹿を討とうと、三輪の里で烏帽子折(えぼしおり)求女(もとめ)に身をやつして機をうかがううちに、杉酒屋の娘お三輪 ( 小学4年生 ) と入鹿の妹橘姫に恋い慕われてしまいます。兄に背いても添いたいという橘姫に、求女は入鹿が藤原家から奪った三種の神器のひとつを奪い返してくれたら夫婦になろうと誓いあいます。ある日お美輪は嫉妬心から二人の後をつけるため、苧環 ( おだまき ) の糸をつけ、あとを追って三笠山の御殿へたどり着きます。
お三輪は見たこともない立派な御殿で途方に暮れていた処、応対に出た官女 ( 共に小学4年生 ) たちに橘姫の恋敵と勘づかれます。
お三輪は取り囲まれて、御殿のしきたりを押し付けられたり、唄を歌わせられたりして散々からかわれます。
あきらめて帰ろうとしたその時、奥から聞こえてきたのは「祝言が整いました」という手拍子のにぎわいです。
理性を失い嫉妬に燃え上がったお三輪!
眉逆立てて、奥へ駆け入ろうとします。
しかし中からあらわれた鱶七がいきなりお三輪の脇腹を刺します。
恨み言をいうお三輪に、鱶七は、求女の本当の正体と、お三輪を刺した理由を告げます。
入鹿は不死身の魔力をもちますが、爪黒(つまぐろ)の鹿の血と疑着(しっと)の相ある女の血を混ぜ、鹿笛に注いで吹くと正体を失うのが弱点なのです。
鱶七、実は鎌足の家来金輪五郎( 中学1年生 )です。
入鹿を倒すために必要な、疑着の相の女の生き血を探していたのでした。
今その時が来たとばかりに・・・
やがて大勢の捕手に囲まれた鱶七は、勇気凛々立ち向かいます。
入鹿討伐という求女の大望に役に立てると聞かされたお三輪は、未来で結ばれることを願いながら息絶えてしまいます。
庭訓とは、江戸時代にありました家庭向け作法などのマニュアル本の総称です。